「燃えたのは議員たちで、SXの余勢を、日本を改造せよ、と迫る。
日本批判がそのまま行政府への圧力となり、爆発して十一月の中間選挙に突入したら大変だと。
そこでブッシュ大統領は先手をうってとにかく、日本をこれだけ変えることにしました、ということで、まあ抑え込んだわけです」と、構造協議の準備で徹夜続きだったと日を充血させた官僚が、充血した日にはそぐわない醒めた言い方をした。
ともかく日本中が大騒ぎをした九0年四月の構造協議は終わり、戦争前夜きながらだった緊迫感が、まるでウソのような一件落着ム−ドだが、一体コリジョン・コ−ス突入は回避し得たのか。
ブルツキングス研究所の上級研究員ロパート・ローレンスに、親日派叩きへの感想をきいたついでに聞いた。
「構造協議というのは、非常に時間をかけてやるべきで、経済的な効果が現れるのも時聞がかかります。
だから性急に結果を求めるのは危険なのです」ジョージ・パッカードも決して楽観的ではない。
「八五年のプラザ合意が出来てドルが下がり出したとき、誰もが貿易赤字が減ると期待していました。
八八年の包括貿易法案が出来たときにも、やはり貿易赤字がなくなるだろうという期待を持ったのですが、それも裏切られた。
とにかく中曾根、竹下両首相のときに、日本側はいろいろ約束しましたが、期待はことごとく裏切られて、アメリカ側の不満がどんどん溜まっている。
だから構造協議の結果が、もしも日に見えるかたちで現れないと、憂慮すべき事態になる恐れが充分にあります」いわゆる。
菊クラプの学者や研究者に親しい新聞記者によると、彼らは、構造協議をブッシュ大統領と日本側が組んで演出した「議会を一時的に押さえるためた便宜的な時間稼ぎ」だと見ていて、それを「鳴物入りで大宣伝した」ことに強い危機感を抱いているというのである。
「この時間稼ぎは予想外に高くつきますよ」新聞記者は傑然として言ったが、この点についてはケビン・カ−ンズも全く同じ見方だった。
「一構妻鹿識について、日米両国の当事者たちは、これで成果が上がたと夢中になって、そのことを吹聴しています。
まるで両国の聞で示し合わせているように成果を誇り合っています。
時聞がたつとわかって来てしまう。
だって本当は何も解決していないのですから。
協議の申身は抽象的な、プロセスをどうするかということで、品勤可能な結果的評価について円が揺さぶる日米安保の取り決めはないのですから。
時聞がたつて、そのことがわかると、不満が充満して爆発する。
アメリカ側は、出来るはずのないことをやらせるといい、日本側は出来ないにきまっていることをやるといっているのですからね」カ−ンズは「不満が爆発」すると「日本からの輸入制限、あるいは特別の関税を掛ける」などの経済制裁から、「安全保障によるアメリカ側の支援、補助の全廃」にまで発展するだろうと警告した。
「障害となる構造の変換」というのは、言わば時間のかかるとっておきの手だ。
その切り札を、ブッシュ政権は、議会むけの時間稼ぎの道具として使ってしまった。
残る頼りは日米安保条約。
ソ連という共通の強敵が存在していた時代は、日米安保は、文字通り日米の鮮であり、経済摩擦などによる日本への風当たりを防ぐ防禦壁の役割を果たして共通の敵。
宏保の役割はどうなるのか。
「私が心配しているのは、日本に対する不満、反日感情が強まり、反日マッカーシズムが強くなると、日本や日本人をよく知り、日本語を話せる人間が日本についてコメント出来なくなってしまう。
すると為にする、間違った情報が、ますます関係が悪化し、かつてのように、マッカ−シズムを恐れるあまり、中国について研究する人間が一世代いなくなってしまった、なんてことになったら大変です」ジョージ・パッカードが、「そんなことにならないことを祈るが」と念を押しながらいった。
親日派が沈黙を強いられるようになれば、日米を結ぶ紳だった日米安保に対して、「経済問題」の揺さぶりはますます強まるだろう。
「一議会からは、早晩、ヨーロッパの軍縮をやるならアジアもやるべきで、世界一の金持ち国・日本を、なぜアメリカがカネと人間に負担して守ってやらなきゃならないのか、という異議が出るでしょう。
簡単に安保破棄や在日米軍の撤退はできない。
フィリピンの基地の左幅縮小または撤退。
韓国からの撤退を早急に決意しなければならなくなっていますからね。
となると大統領は、在日米軍を議会に納得させるために、従来とは違う説明が必要になる。
日本を守るためでもアジアを守るためでもなく、アメリカを守るためだと」外務省の中堅官僚が、語気を強めて言った。
在日米軍が日本を守るためでなく、アメリカを守るためにあるというのは、安保条約締結以来、日本政府の国民に対する公式の説明を大きく逸脱する見解だ。
「アメリカ大統領や国防長官が、正式にこんな発言をしたら、当然、日本のマスコミ、もちろん野党勢も大騒ぎになる。
政府に日米安保の虚構性を徹底追及し、政府は答弁に窮する。
そんななかで、野党からだけでなく、自民党の右側からも安保廃棄、自主防衛論がまき起こったら収拾がつかなくなり、本当に糸が切れるなんてことになりかねません」「私は、ペンタゴンを離れてしまっているので、ものが言いやすいという面はありますがと、警告を発するのは元国防次官補のローレンツ・コ−ブルツキングス研究所)だ。
「ソ連が具体的な脅威でなくなっているのに、アメリカが、ない脅威に対して日本を守ると言ったってだれも信用しないでしょう。
事実である以上のことを認め、具体的な現実の共通認識から新しい関係をみつけるという立場をとるべきです。
日米の政府も正直にものをきのうは苦しいでしょうが、嘘や宣伝を言い続けてもだめです」ソ連という共通の敵がなくなれば、日本にとって安保の幹自体が虚構化するわけだが、アメリカとの紳以外に紳をつかめず、なおも安保にすがりつこうとする日本政府と、それを見透かしたアメリカとの聞で、安保条約の危険な迷走が、じつはもう始まっているのである。
「もしも米軍が引き揚げれば、日本は軍隊を一層強化して軍事大国になる。
だから、それを抑えるために我々は日本に駐留する必要がある。
我々はビンの栓なのだ」三月二十七日付『ワシントン・ポスト』紙上のインタビューで、へンリ−・スタックポール・少将はこう語った。
彼は、沖縄駐留米軍の海兵隊可令官なのである。
スタックポ−ルとしては、「日本の防衛のために、なぜ膨大な金と人を負担しなければならないのか」というクレームを抑えるためのグ理由づけ。
私たち日本人としては、どうにも納得しがたい理屈だ。
「在日米軍は四十五年前の占領軍にもどるわけだ」防衛庁の制服組幹部が皮肉に言ったが、日本を監視するグビンの栓のために、その経費の四五パーセント、約四千二百億円を負担しているのはどうにも釈然としない。
しかも、国防総省は、この額に不満で、六千億円に上げよ、と強く求めているのである。
現在、海外援助を含めた外務省の予算が五千三百億円だから、グビンの栓の経費のほうが多くなってしまう。
日米経済の葛藤が宏保を揺さぶり続ければ、安保条約は、いよいよ取扱いの難しいオモチャになり、まかり間違えば日米関係は、待ったなしのコリジョン・コ−スに引き寄せられてしまうだろう。
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